私限定の甘さ
「本当に違うの…ねぇ、信じてよ、俊」
泣きそうになりながらも俊を見つめる。
すると、俊は苦しそうに顔を歪める。
「悪いけど、信じられない」
「しゅ…」
「愛ちゃん」
俊、と名前を呼ぼうとすると、それは俊によってかき消された。
「ちょっと距離をおこう」
そう言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。
「嫌だ…やだよ、俊…」
私の声に振り向かず、教室から出ていこうとする俊。
「おい、お前、俺たち、本当になにもないんだ、俺が勝手に西野を好きになっただけなんだ」
と響也くんが言う。
「そんなの分かってる!!」
俊が怒鳴る。
「じゃあ、なんで」
「このままじゃ、愛ちゃんを傷つけてしまいそうなんだよ、だから、今は離れることが正解なんだ」