私限定の甘さ
嫉妬 俊side
「しゅ、ん…」
教室の扉を閉めるとき、泣きじゃくる愛ちゃんの声が聞こえた。
本当は、振り返って抱きしめたい。
「ごめん」って謝りたい。
でも、ダメなんだ。
今、愛ちゃんと話すときっと俺は傷つけてしまう。
「くそっ!」
廊下の壁をドンッと殴る。
周りの人が俺の方を見るが、興味ない。
さっきの光景が頭をよぎる。
あの男に抱きしめられる愛ちゃん。
思い出すだけでイライラする。
知らなかった。
俺がこんなに嫉妬深いなんて。
さっきのは、愛ちゃんはなにも悪くない。
ちゃんと拒否していたんだから。
なのに、俺は…。
愛ちゃんの傷ついた顔を見て、胸が痛くなる。