私限定の甘さ

放課後。

1人で帰り道を歩く。

いつもは俊と2人で帰るのに。

…1人で帰るのってこんなに寂しかったっけ?

俊と付き合う前はずっと1人で帰っていたのにな…。

長い道のりを歩き、ようやく家に着く。


「…ただいまぁ」


「おかえり」


お母さんが優しい笑顔で私を迎える。

私も笑顔をつくった。


「…なにかあった?」


「…へ?」


びっくりした。

だって、まさかお母さんにバレるとは思っていなかったから。


「な、なんでもないよ!」


「そう?
なにかあったなら遠慮せず言いなさいよ?」


ふわりと優しく笑うお母さん。

嬉しくて涙が出そうになる。

慌てて俯いて、「うん」と言って2階の自分の部屋に行く。
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