あなただけだった
『よぅ。ユカコ。寒いのに犬の散歩か?』
直也だ。
直也がいる!!
私は嬉しくてニヤニヤしてしまいそうな顔を何とかニコニコに変えた。
『うん!うちの愛犬ラブ!かわいいでしょ!!』
『かわいいなぁ!俺、犬好きなんだよね。ユカコもこの寒いのに毎日散歩してやってえらいなぁ。』
えっ!?毎日!?なんで知ってるの!?
『直也、私が毎日散歩してるの知ってたの?』
『うん。颯太の部屋から外覗いたらユカコが犬の散歩してるの何度か見た事があるよ。この道、散歩コースなんだろ?』
『えっ!あっ!うん。散歩コース。』
『じゃあな、ユカコ。気をつけて帰れよ。ラブちゃんもまたな。』
そう言って直也は帰って行った。
―直也に会えた―
私は嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。やっぱり努力は実るんだ。
いつの間にか私の顔はニコニコからニヤニヤに変わっていた。