あなただけだった
『うわぁ〜。懐かしい!』


直也とユカコが3年間通った中学校。


『さすがに中には入れねぇな。』


『そうだね。夜だし仕方ないよ。』


中に入るのを諦め、二人は車内に戻り、また昔話しを始めた。


『売店も校舎も全部そのまんまだね。』


『だなぁ。あの売店よく行ったもんなぁ。』


『直也はホント売店によく行ってたよね。おばちゃんの力仕事手伝ったりしてたね。』


『手伝ったね。お陰でこんなに腕太くなっちまった。』


ここ最近、男性と接してないせいか直也の腕を見ただけでドキドキしてしまう。


その動揺を悟られないようにユカコは必死で隠す。


『本当!直也の腕太い!今も力仕事してるもんね。』

そう言った瞬間だった。


ユカコの体がフワリと浮いた。



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