あなただけだった
直也の座席へ抱きよせられ唇と唇が重なる。


直也の舌がユカコの舌を探し絡ませる。


今、この状況が把握できないユカコは直也の腕の中でただジッとしていた。


直也の唇がユカコの唇から離れた瞬間ユカコの頬は紅くなった。


『ねぇ。どうして?どうしてキスしたの?』


『イヤだった?』


からかい気味に言う直也。

『イヤじゃないけど…イヤじゃないけど、どうしてなのか知りたい。』


『それは、俺の口からは言えない。』


急に真剣な表情になる直也。ユカコはそれ以上聞けなかった。


直也に好きだと言ってほしいのだろうか。


だが、そう言われたところでユカコの気持ちは定まっていない。



しかし、ユカコは直也の気持ちが聞きたかった。




< 37 / 47 >

この作品をシェア

pagetop