Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
第1章 Sweet Cocktail

-1-


「……ねぇ、冬美(ふゆみ)? もうそうやって、いい加減くよくよするのやめなってば」

「だって、もう少しで付き合って一年だったのに……」

「だってじゃないの。そんなにいつまでもヘコんでたって、失恋が解消されるわけでもないんだし。もう忘れなさいって、ホントに!」

「でも……」

ランチをつつきながら、落ち込みを隠せずにいる私に、

「もうあんな男のことなんて、忘れた方がいいって!」

会社の社員食堂で、向かいに座る同僚の佐久間 薫(さくま かおる)が、焦れったそうに声を荒げた。

「…でも、そんな簡単になんか…」

と、箸の先っぽをくわえる。

「箸をくわえるのやめなさいってば。ああ、もう! あんたってば、どうしていつもそうなのよ!失恋なんて引きずらないで、とっとと次行くの! 次っ!」

「うん…」と、小さく頷く。

私が思い悩みやすい性格のせいで、男勝りな気質(たち)の薫には、怒られてばかりなのがいつものことにもなっていた。



< 1 / 93 >

この作品をシェア

pagetop