Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
第1章 Sweet Cocktail
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「……ねぇ、冬美(ふゆみ)? もうそうやって、いい加減くよくよするのやめなってば」
「だって、もう少しで付き合って一年だったのに……」
「だってじゃないの。そんなにいつまでもヘコんでたって、失恋が解消されるわけでもないんだし。もう忘れなさいって、ホントに!」
「でも……」
ランチをつつきながら、落ち込みを隠せずにいる私に、
「もうあんな男のことなんて、忘れた方がいいって!」
会社の社員食堂で、向かいに座る同僚の佐久間 薫(さくま かおる)が、焦れったそうに声を荒げた。
「…でも、そんな簡単になんか…」
と、箸の先っぽをくわえる。
「箸をくわえるのやめなさいってば。ああ、もう! あんたってば、どうしていつもそうなのよ!失恋なんて引きずらないで、とっとと次行くの! 次っ!」
「うん…」と、小さく頷く。
私が思い悩みやすい性格のせいで、男勝りな気質(たち)の薫には、怒られてばかりなのがいつものことにもなっていた。
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