Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜

「お呼び立てさせてしまいまして。私が、もっと早くに気づけば良かったですね」

「いえ、そんなことは…」

まつ毛の長い瞳で見つめられて、恥ずかしくもなる。

「…あの、デザートは何がお薦めですか?」

薫に目で催促をされて、尋ねる。

「デザートですか? それでは、お酒を飲まれた後ですし、口直しにジェラートなどはいかがですか?」

「じゃあ、それで…」

「かしこまりました。ジェラートは3点盛りになっていますので、どうぞご賞味ください」

そう言い置いて、彼はオーダーを通すために下がって行った。


グラスに残っていたカクテルを飲んで、

「…薫ちゃん、ムリにくっつけようとしてるでしょ…」

横目に見ると、

「……何言ってんの! よくできたじゃない。上出来だって、冬美」

薫がそう言ったところへ、ジェラートのプレートが運ばれてきて、

「…今、お名前で呼ばれてましたか?」

と、秋冬さんに訊かれた。

「ああ、彼女の名前が冬美って言うんですよ。そう言えば、秋冬さんも冬の字が入っていて、冬美といっしょですね」

薫が口を出して、

「……ふゆみさん? と言われるのですか?」

と、首を傾げられた。

「ああ…はい。冬に美しいで、冬美です…」

「本当ですね。私と同じ冬が入っていて……なんだか、嬉しいですね」

と、秋冬さんは、口元に薄く微笑を浮かべた。




< 12 / 93 >

この作品をシェア

pagetop