Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
ーー退社時刻になって、席を立って帰ろうとすると、隣のデスクから、薫が私の腕をガッとつかんだ。
「えっ…何?」
いきなり引き止められて、びっくりして振り返るのに、
「待ちなさいよ、冬美。今日は、私と飲みに行くんだから」
そう言われて、
「……飲みになんて、いいよ」
と、首を振る。
付き合ってた彼氏に振られたのが、自分の中で未だに消化しきれてなくて、早く家に帰ってとっとと寝てしまいたかった。
「ダメ! あんたってば、放っておくとずっとグズグズ悩んでるんだから。今日は、どうでもいっしょに飲みに行って、忘れさせてあげるんだから!」
言いながら、薫が自分のカバンを肩にかけて、がっしりと腕を組んで歩き出す。
「…あの、薫ちゃん……本当に、飲みになんていいから……」
彼女に引きずられるようにして、会社のエレベーターに向かう途中、
「いいから、黙って付いてきなさいって。いいところに、連れて行ってあげるから」
そう思わせぶりに口にして、彼女は微笑んだーー。