Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜

ビルの前に広がるガーデンスペースで、ベンチに座って、

そびえるビルと、その先にある空とをぼーっと仰ぎ見ていた。

冬の寒空は高く、澄んでいて、

吹く風に、雲がたなびいて流れていた。

気持ちいいけど、やっぱり空気が冷たいなとも思って、そろそろ帰ろうかと、ベンチから腰を浮かせた。


ーーと、

「……冬美さん? ですよね?」

突然に、声をかけられた。

「え…?」

顔を向けると、

そこにはーー、あの秋冬さんの顔があった。

「……秋冬さん」

「……お久しぶりです」

そうにっこりと微笑むのに、お店で会った彼といっしょだと感じる。

「ええ…お久しぶりですね」

と、返して、

……だったらあの時出会った、彼にそっくりなあの人は、誰だったんだろうと改めて思う。

「お隣に、座ってもいいですか?」

「ああ…どうぞ」と、少し席を空ける。



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