Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
「…あの、そんなお店に連れて行ってもらうなんて、悪いですから」
「気にしないで……本当に、大丈夫だから」
「でも……」
再び手が差し出されて、
「…手を繋ぐのは、嫌じゃないですか?」
訊かれて、「ううん…」と、首を振る。
……いざなわれた直通のエレベーターから降りると、
お店の前には店長らしき人が立っていて、
「いらっしゃいませ。鷺宮のご子息様」
と、一礼をした。
「……そういうのは、僕にはいらないので。今日は、ただ彼女と食事をしに来ただけだから」
そう彼が声をかけると、
「承知致しました。それでは、ご予約のお席にご案内をさせていただきます」
もう一度頭を下げて、席へと招いた。
……椅子に座り、向かいの彼を見つめて、
(やっぱり、彼は鷺宮財閥の御曹司なんだ……)
と、改めて思う。
あのお兄さんと違いすぎるのに、本当には兄弟じゃないのかもしれないと思ったりもしたけど、双子なのは真実だったんだと感じた。