Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
「ほら、ここだって。行くよ、冬美!」
なんだか既に戦闘体制みたいにも感じられる薫に、仕方なしにくっついて行く。
お店の前まで来ると、
「いらっしゃいませ」
白のシャツに黒のベストを合わせ、ブラックカラーの細見のネクタイを締めた男性が、胸に手をあてて軽く頭を垂れた。
「…すごい。噂って、本当だったんだ…」
その上げられた顔の美形さに、薫が傍らで目を見張る。
「ようこそ、こちらのご来店は初めてになられますか?」
「ええ、はい…」
ぼーっと見とれたままで、薫が応える。
「初めてのご来店、ありがとうございます。それでは、お席にご案内をさせていただきますね」
広く長いカウンター席に着くと、
「私が、本日お客様へのサービスを担当させていただきます、秋冬(あきと)と、申します」
と、丸イスの横に片膝をついて、笑顔を向けた。
「…アキトさん……」
「はい、秋と冬と書いて、秋冬です」
と、胸に付いたネームプレートを示した。