Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜

「…ふん、彼女でもない女と、店の外で何をしている?」

「なんにも…コーヒーでも飲もうと思って…」

彼の言葉に、

「コーヒー?」

声を上げて笑って、

「奥手なおまえらしいよな? 女なんか酒を飲ませて、すぐにでも落とせばいいだろうが?」

うつむいた彼の顔を、わざとらしく覗き込んだ。

「……なんなら、僕が落としてやろうか?」

黙っている彼に、兄の春夏さんが言い出す。


言葉もなく立ちすくむのに、

「……なぜ、何も言わない……何か、言えよっ! 秋冬!」

イラついたように大声を出して、

「……おまえが落とせないのなら、この僕が落としてやるって言ってんだよっ!」

この場が早く過ぎ去ってくれることを願うかのように、何も答えないままでいる彼に、

「……おまえが、そうやって黙っているのなら、こっちにも考えがある……」

と、忌々しそうに、自分と同じその顔を睨みつけた。



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