Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜
「兄さんっ……!」
寸前まで迫った唇に、両腕を突っ張ってなんとか距離を取ろうとする。
「おまえが奪えずにいるキスを、僕が奪ってやる……!」
ガッと力ずくで抱かれて、抑え切れなくもなるのを、
「……春夏っ!」
怒鳴るようにも呼びつけて、
「僕を、名前で呼ぶなっ! 秋冬!」
感情的に叫び返した、その僅かな隙をついて、
グイッと身体が引かれ、秋冬さんの腕の中にぎゅっと抱え込まれた。
「……冬美さん、大丈夫でしたか?」
小さな震えが襲って、「うん…」と、だけ頷く。
「……兄さん、どうしてこんなことを……」
「……おまえが、憎いからだ…秋冬……」
その言葉に、
「……憎い?」
と、彼が顔を歪ませる。
「……そうだ、おまえばかりが誰からも好かれて……僕は、誰からも……」
瞳を睨み据えて、
「……同じ顔なのに性格が違いすぎるからと、比べられ避けられて……僕は、おまえのようには振る舞えなくて……」
告げると、その目から予期せぬ涙が、つとこぼれ落ちたーー。