不埒な男が仕掛ける甘い罠
ここ最近、拓真とデートしていても頻繁に届くメールを気にしてばかりいた。
よくよく思い出せば、映画やショッピングを楽しんでいたデートも、ウィンドーショッピングになり、昨日はそれさえもなく部屋に直行。
久しぶりに会ったのに、お互いの近況報告もなくただ、SEXしただけ…
まるで、セフレに格下げされた気がして…
私と拓真のお互いを思う気持ちのズレが、昨日の拓真の無神経な態度に出てきていると思うと悲しくなっていた。
拓真の言葉を信じたいと思うのに、一度疑いが生じてしまうと全てが信じられない。
でも、拓真と別れるなんて考えられない。
でも、このモヤモヤした感情のまま拓真といたら、私はきっと別れたくないのに別れを切り出してしまう。
それこそ、絵里さんの思う壺のような気がしてならない。
このまま気づかないふりをして、側にいるもの辛くて
私は顔を合わせない事を選んだ。
せめてもの牽制のつもりで彼女の忘れ物と他人行儀な置き手紙を残してきた。
彼が、少しでも罪悪感に苦しんで反省してくれればと願って家に帰宅した。
そして、自分のベッドに倒れるように目を閉じ、いつもの起床アラームが鳴るまで、私は浅い眠りにつく。