不埒な男が仕掛ける甘い罠

突然の爆弾発言に、耳を疑った。

えっ、なんて言ったの⁇
聞き間違い⁈

「…新ちゃん、私の聞き間違いかな?付き合ったばかりなのに結婚指輪って聞こえた気がするんだけど…」

「間違ってないよ。俺は唯とずっと一緒にいたいんだけど、唯は違うの?俺と結婚したくないのか?」

不安気な声を出しながら、指輪をはめた右手を握ってくる。

答えなんて1つしかないのに、ずるい聞き方をする…

「…一緒にいたい」

私の答えに満足して顔を綻ばせた新ちゃんは、勝ち誇ったように表情を変えた。

「なら、一緒に住もう。引っ越しの荷物が片付いたら仁さんに挨拶に行くし、予定聞いておいて」

ペアリングから結婚の話になって、同棲にまで話が一気に進んで頭がついていかない。

「えっ、と、新ちゃん…付き合い始めたばかりだよ」

「そんなこと関係ないよ。結婚したら一緒に住むんだ。籍が入ってないだけで早いか遅いかの違いだろ」

「そうだけど…パパが許してくれるかな?」

「まぁ、そこは難関だけど…大丈夫。俺はもう、唯と一日も離れたくないの」

甘えを含んだ声を出し、カウンターを挟んでぎゅっと抱きしめられて、胸がキュンキュンする。
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