不埒な男が仕掛ける甘い罠
横抱きにされ、新ちゃんの膝の上にいるという事に照れ臭さが出て、頬が熱くなっていくのがわかると恥ずかしさに俯いてしまっていた。
そんな私の顎を新ちゃんは指先ですくうように持ち上げて、意味深に笑っている。
「顔が赤いけど、どうかした?」
顔が赤い理由をわかってるはずなのに、とぼけた口調が憎らしい。
私をからかって楽しんでいる様子が伺えて、ひと睨みしながら抗議する。
「この体勢が恥ずかしいの」
「ここには俺たち2人きりで誰も見てないよ」
そうなんだけどね…
でもね…
「そういう事じゃなくて…」
「…ん?」
口元に笑みを浮かべて私の顔が赤い理由をわかっているくせに、わからないふりをしている男の肩を何度も叩いた。
「もう…バカ……バカ…からかって遊ばないでよ」
「痛いって…からかいすぎた。俺が悪かったよ。だから叩くのは勘弁してくれ…なぁ⁈」
たいして痛くもないくせに、大袈裟に降参のポーズをとりながら、最後は甘えた声と困った表情で私の頬を撫でるずるい男。
こちらもたいして怒っていないから、簡単に許せてしまう。
「仲直りしよう?」
そう言われれば、頷く以外他になくて…