不埒な男が仕掛ける甘い罠

「よかった…それじゃ、眼鏡を外してよ」

「どうして、私が?」

「今までは唯と一緒に働くって事がなかったから必要なかったけど、一緒に働くとなると公私の区別つけないといけないのに側にいる唯にキスしたくなるし、男の客と話している姿に嫉妬もする。だから、眼鏡をかけてオンオフの仕事モードになる為の俺のスイッチがわりがこれ…」

頬を赤らめ甘い言葉を聞き流した。

「だからね…さっきの唯のヤキモチは嬉しいけど仕事中は眼鏡は外さないよ。でも、仕事が終われば我慢していた分、唯を抱きしめてキスしたい。だから、唯が外して…俺を仕事モードから解放してよ」

「……仕事、モードの人が、膝の上に私を乗せてるけど?」

「あははは‥それは唯がかわいいヤキモチを焼くからつい、可愛くてご機嫌伺いも兼ねて乗せてみました」

「からかったくせに…」

「うん…ごめんね」

こんな甘いやりとりを新ちゃんとするなんて想像もしていなかった。

素直に謝る新ちゃんにこれ以上言い返す言葉が見つからない。

黙る私に、眼鏡を早く外してと催促する眼差しに負けて、両手でフレームを持ち新ちゃんの顔から眼鏡を外した。

「俺から眼鏡を外せるのは唯だけだからね」
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