不埒な男が仕掛ける甘い罠
見えそうで見えない微妙な場所に残された痕が、まだジンジンして痛い。
甘い吐息を漏らしていた口から出る私の声は、怒りに低くなる。
「どうしてこんな意地悪するの?」
「唯を見る男の客の目が気に入らなからかな⁈」
「…だからって…『唯が男の客に愛想がよすぎるのも気に入らない』」
経営者らしからぬ発言に苦笑い。
でも、彼氏からの発言だと思えば嬉しくて仕方ない。
目の前でムスッとしている新ちゃんの頬を両手で挟み、唇にキスしてから微笑んだ。
「笑顔1つで、また来てくれるなら笑顔を振りまくよ。でも、お客さんにはキスなんてしないもん」
気を良くしたのか、新ちゃんは鼻先を擦り頬を緩ませた。
「…痛くしてごめんな。でも、しっかり痕をつけたから指輪とこの痕で誰のものかってわかるだろうけど、愛想よくするのもほどほどにな」
ヤキモチを焼いた照れ隠しに、私の鼻先を摘む。
「新ちゃんもね」
私も、仕返しとばかりに新ちゃんの鼻先を摘んでやる。
そして、2人して笑い、自然とまた唇を重ね離れた。
「ぎゅっとだけじゃ足りないわ」
艶めかしく微笑み取り出したスマホでどこかに電話をかけると、私の耳元にあて反対の耳元で囁いた男。
「俺のマンションにおいで」と…