不埒な男が仕掛ける甘い罠

あいつが唯の彼氏なのか?

そう思っていたら4人の会話が聞こえ、拓真君と呼ぶ声がして…

拓真…

慧が言っていた唯の彼氏の名前も拓真だった。

99%から100%に確定した瞬間、慧との会話も忘れ俺の心は騒ついていた。

俺が認めれるような男じゃないなら、許さない。

帰って行くあいつの背をいつまでも見ていた。

それから行く日も経たないうちに、あの男が来店した。

以前、一緒に来ていた計算高そうな女と2人きりで奥のテーブル席に座った。

数人で来ているなら友人同士、もしくは仕事の付き合いなのだろうと思い、まだ俺の心もこんなに苛立たなかっただろう。

男と女がこんな夜の街に2人きりでくるなんて、怪しくて仕方ない。

一本、道を変えればラブホ街へと続く。

その女と飲みにくる時間があるなら、唯と会ってやればいいのにと苛立つ反面、その女とくっついてしまえばいいと望む俺がいて、だけど、唯を悲しませたくないという気持ちもあって、頭の中はグチャグチャになっていた。

その後、2人を見ることはなくて俺の考え過ぎだったと思いたかったのに、例の女が1人で来店して来た日から変わっていった。

その日から、俺の不埒な企みが始まったのだ。

< 140 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop