不埒な男が仕掛ける甘い罠
彼女を利用するのは同じだが、影で動かす駒ではなく、協力してもらうのもいいかもしれないと思うようになっていた。
メールを見て嬉しそうに微笑む絵里さん。
「いい返事でも来た?」
「…わかる⁈うふふ…明日、会おうって連絡が帰ってきたの。それも彼の家においでだよ…家に招待してくれるって事は、気を許してくれてる証拠だもん」
恋する女は、良い方に解釈する生き物らしい。
男の俺からしたら、前日、本命の彼女にお金を使った後で、割り切った関係の女にはお金を使うのが勿体なくなっただけだと思う。
金をかけず済む都合のいい女と判定されたと気がついていないらしい。
1番ほしい女には手が出せなくて、他で性欲を満たしていた時期、歴代の彼女達をその時々で判定し、贅沢を好む女と、ただ、愛を求める女に分類してお金の使い方を変えていたが、奴のように複数同時進行しなかった。
俺もサイテー男だったが、奴ほどではないと勝手に自負している。
自分の事は置いておいて、喜んでいる彼女に残酷な事を言っていいのだろうかと思い悩んでいた。
ここで怒らせては、絵里さんの協力を得られなくなると考えた俺は、しばらく様子をみる事にした。