不埒な男が仕掛ける甘い罠


「新の報告には驚いたが、前から聞いていたからな…店もオープンしたばかりで大変だろうが、式までいろいろと決めないといけない事が沢山あるから、2人も一緒がいいだろう」

ここで、会話のズレに気がついた。

「式ってなに?決めないといけない事って?」

「おまえ達の結婚式だよ」

やっと、話がつながった私は驚きで声が出ない。

すぐにでも結婚したい新ちゃんと違い、交際期間がほしい私と意見が食い違い結婚の話は保留になっていた。

いくら、小さな時からお互いを知っているとはいえ、彼氏、彼女として甘い時間を過ごしたいと思ってる。

新ちゃんは、籍を入れてからでも甘い時間を過ごせるだろうと言っていたが、恋人期間と新婚期間とは別だ。

男の新ちゃんには理解しがたい事らしく、早く結婚したい新ちゃんは、この間からあの手この手で私を丸め込もうとしていた。

今朝、私を抱きしめた時に言った『結婚しても、その時できる人が家事をすればいい』ってセリフも、きっと私が結婚したいと思わせる為に違いないと思っていたが、どうも新ちゃんは、親も巻き込んで結婚に踏み切り、私は、このままこの部屋にとらわれてしまうらしい。

相談もなく決められ普通なら怒こるところ『まぁ、いいっか』と思ってしまうあたり、私は新ちゃんを溺愛しているらしい。
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