不埒な男が仕掛ける甘い罠
「…もしもし、新です。唯の奴、酔っ払って寝てしまったので今日はこのまま泊まらせます」
「…あぁ、わかった」
今から俺が言うことに仁さんは、どう反応するのだろう?
ドキドキと高鳴る胸を手のひらでグッと押さえ
「早めに唯と結婚したいと思ってます。籍だけじゃなく式も挙げて、唯と暮らすことを許して下さい」
しばらくの沈黙
「…泣かせるようなら、すぐにでも離婚させるからな」
仁さんなりの許しの言葉に、大きくガッツポーズをした。
「ありがとうございます」
「唯を頼む…じゃあな」
プチっと切れた電話を握り締めた後、肩の力が一気に抜けていき、そのままベッドで横になると、温もりを求めすり寄ってくる唯の頬にキスをした。
交際期間もなしに結婚すると家族を巻き込んだ事に唯が驚き、怒るだろう。
だけど、唯なら、「まぁ、いいっか」と言って最後は頬を膨らませ怒りながらも許してくれるだろうと、唯のウェディングドレス姿を想像して眠りについた。
〈完〉