不埒な男が仕掛ける甘い罠
笑われた…
大人なのに、子供じみたことをしちゃったよ。
もう、私のバカ…
げんこつで頭を小突き落ち込む。
「…唯ちゃん…大丈夫?どうしたの?」
そこへ美鈴さんが…
「なんでもないです。ちょっとした反省です」
苦笑いした私に、美鈴さんはふふふと笑って終わらせてくれた。
10時に開店して、しばらくすると美鈴さんのお菓子やケーキを求めてお客様が来店しだした。
駅近くの賑わう場所にあるコンフォルトと違って、Aliceは大通りを横切った交通量の少ない道路に面している。
それでも絶え間なくお客様が来店してくる。
いつもと変わらない日常
それなのに、来店するお客様に変化が…
それは、隣の店舗の前を通った若い女性客はのぞき見して、頬を染め立ち止まる。
そして、帰りも同じように立ち止まり、色めき立って動かない。
そこに、何事かと人が集まりだしてしまった。
私と美鈴さんは、店内から様子を伺うだけ…
すると、新ちゃんが出てきて美鈴さんは気になるのか、ガラスのドアを開け立ち聞きしている。
「来週、ここにカフェをオープンします。隣のAliceと繋がりますので、ケーキだけでなく僕のお店にも立ち寄りください。お待ちしてます」