不埒な男が仕掛ける甘い罠
信じたいのに…

戸締りをする新ちゃんを裏口の外で待っている間、スマホを確認すると、普段と変わらない拓真からのメールが届いていた。

『仕事頑張れよ。また近いうちに連絡する…愛してるよ』

拓真の浮気疑惑が昨日あったばかりなのに、こうも毎回同じ内容で送られてくると掠れた笑い声しか出てこなかった。

今まで疑いもしなかったけど…

彼は、今日はどのように過ごしていたのだろう?

どんなに体が疲れていても、平日なかなか会えない分会える時間があるなら…

私なら、会いに来るのに。

昨日の次の日なら尚更、会うべきじゃないの?

朝の置き手紙も意味がなかったのかと悲しくなった。

私が大事なら、会いに来てよ。

ボソッと呟くと涙がこぼれた。

「お待たせ…唯?」

慌てて、頬をつたう涙を手の甲で拭いた。

「……あ、ごめんね。ちょっと考えごとしてて」

「瞼が腫れていた原因?」

「…あ、はははぁ。瞼が腫れていたの気がついてたんだ」



「まぁね…目も赤かったし、泣いたんだろうって思ってたけど、唯が気づかれたくなさそうだったから…タイミング悪い時に出て来てごめん」

「ありがとう。新ちゃんは優しいね」

「唯にだけだよ」

えっ…
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