不埒な男が仕掛ける甘い罠

んっ?その前に新って呼んでたよね?

今日は客ってどう言う事?

⁇マークいっぱいの表情をしていたのだろう…カウンターの男性は私を見て笑った。

「百面相してる彼女は、何飲むの?」

「えっ…私ですか?とりあえず、ビールお願いします」

笑われた恥ずかしさに頬を押さえながら答えた。

「新は?」

「俺も同じで…後、適当につまみも出してよ」

「はいよ…オーナーさま」

「…‥お、オーナーさま?」

聞き逃さなかった私は、どこから出てきたのかわからない素っ頓狂な声をあげていた。

「そう、新はこの店のオーナーさまなんだ」

ビールサーバーにグラスを添え、レバーを押しながら答えてくれる男性。

「名前だけのね」

謙遜する新ちゃんに、どこから楽しげなな男性は私の目の前にコースターを置いてグラスを置くと私に耳打ちする。

『笑顔できつい事を平気で言うからあいつは悪魔だよ』

なるほど…

先ほど、ホールにいた男性と彼の表情が変わった理由はそう言う事なのかと1人納得してたら…

「唯に余計な事を吹き込むなよ」

ニコニコ笑っているけど、目が怖いですよ。

おー怖と両手をさする男性は、奥へと消えて行った。
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