不埒な男が仕掛ける甘い罠
さっきのように振り払えばいいのに、なぜだか体が強張って動かないから視線で威圧してるのに効果がなく
、逆に熱い眼差しで見つめられて戸惑ってしまう。
視線を彷徨わせ、オタオタする私。
そんな私を見てクスッと笑った目の前の男は、唇からやっと指を離してくれた。
甘い雰囲気がなくなりホッとする反面、残念と思ってしまう自分がいて驚いている。
だけど、それは内緒の話。
私には、拓真がいるもの。
それに、新ちゃんは幼馴染のお兄ちゃん。
「大人扱いされた気分はどうだった?」
やっぱり、からかわれてたんだと胸の奥がチクンと痛くなる。
「……今みたいなことは彼女にするべきよ」
「彼女なんていない」
「それなら、意中の人にして…他に大人扱いする方法があったでしょう?からかう為にあんなことしないで…」
「からかってないよ。幼馴染は卒業するつもりでいるから…唯もそのつもりでいて」
「それって…幼馴染をやめるってこと?」
「そうだよ」
はっきりと言われ悲しくなる。
涙目になる私を見て
「何か勘違いしてるな…まぁ、唯らしいけど。いいか?俺は男で唯は女…男と女に友情ってあると思うか?」
「わかんない」
「答えが出たら、俺の言いたいことがわかるはずだ」