不埒な男が仕掛ける甘い罠

小さな唯は家に遊び来る度、お袋のケーキを楽しみにしていて、よく口の周りに生クリームをつけて今のように頬を緩ませて美味しそうに食べていた。

口の周りについたその生クリームを紙ナプキンなどで俺が拭ってやるとニコッと笑って

『新ちゃん、ありがとう』

といつも言っていた笑顔が浮かんできた。

あの頃とは違い、大人になった唯の唇は生クリームをつけて色っぽく誘惑しているように見える。

俺がその生クリームを拭ってやったらどういう反応をするのだろう?

ちょっとした好奇心から、彼女の口の端の生クリームを指先で拭っていた。

弾力のある唇の感触が指先に残っていて、無意識に自分の口の中にその指先を含んでいたら、唯が頬を染め口を開けてア然としている。

予想以上の反応に気を良くし口の中に残る生クリームの甘さに耐えながら素っと惚け、更に1人の男だと印象付けたい俺はタイミングを待っていた。

その時がきた…

間接キスという方法で意識させることに成功。

居た堪れないのか、頬を染め無口に残りのケーキを食べだす唯。

企み通りに、思わず笑みが溢れた。

だが、まだ始まったばかり…
このまま唯を帰す訳にはいかない俺は、彼女の意識を別の方向に向けた後、飲みに誘う。
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