不埒な男が仕掛ける甘い罠
それを見た新ちゃんは
あははは…
と、楽しそうに笑っていた。
「今日は、もう何もしないから安心して」
「…今日はって…私に、彼氏いるんだよ。もう、こんなことしないで…」
新ちゃんが見つめる眼差しに胸の奥がチクンとして目を伏せていた。
「こんなことって?」
「だから…キスしないで。新ちゃんは私の幼馴染のお兄ちゃんなんだからね」
「幼馴染のお兄ちゃんは卒業って言ったろ」
確かにお店で聞いたけど…どう言う意味なの?
「兄弟じゃない。俺たち赤の他人なんだよ。わかってるか?」
「言われなくてもわかってる」
「それなら、俺を1人の男として見ろ」
「…」
肩を掴んだ手に力が入り、視線を合わせ腰を屈める新ちゃんの迫力にたじろぐ私。
「……変だよ。突然どうしたの?」
「唯を誰にも渡したくない。お前が好きなんだ」
予想もしていなかった相手からの突然の告白。
うそ…でしょう?
からかってるだけだよね⁈
「本気…唯のここが俺でいっぱいになるまで彼氏がいても譲る気ないから覚悟して」
自分の心臓の上を押さえて妖しく微笑んだ新ちゃんは、チュッとおでこにキスしてきた。
唇にされず、残念と思う自分に驚いて
「何もしないって言ったのに…」
と、唇をわざと尖らせて表情を隠した。