不埒な男が仕掛ける甘い罠

唯を傷つけるだろう…

でも、それでも唯がほしい。

間違っているとわかっていても、最後に唯が俺の腕の中で笑ってさえくれればいいんだ。

俺のこれからの行動を正当化したくて、訊ねる。

「まさふみ…もし好きな女に男がいて、その男が浮気していた事を知った彼女をお前ならどうする?」

「……俺なら、男と別れる事を進める」

「俺だったら、慰めますね」

会話に混ざってきたゆうやが答えた。

「お前の慰めるってのは下心見え見えなんだよ」

まさふみが、間入れず突っ込んだ。

「で、お前はどうするの?」

まさふみの問いにゆうやが目をキラキラして答えを待っている。

「おれは、心の隙間に入り込む」

三者三様の答え

それぞれの性格が出ていると笑いあった。

なんとなく、スッキリしてグラス中の液体を一気に飲んだ。

その後、1人でどう行動を起こそうかと思い悩んでいると、お客を外まで送って行っていたゆうやがあわててカウンターまでやってきた。

「新さん…あの…さっき一緒にいた彼女が男と戻ってきました。多分、そろそろ店の前に着く頃です」

早口のゆうやは、さっきの会話が唯の事を言っているとわかっていて教えてくれたようだ。
< 61 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop