不埒な男が仕掛ける甘い罠
「新さん、頑張ってください」
上から目線で、したり顔をするゆうやにイラっときたが今はこいつに構っている時間はなさそうだ。
まさふみは、俺の慌てる様子を楽しげに傍観しているだけで、何も言わない。
弱みを見せたようで、それはそれで面白くないが兎に角、唯の元へと急いだ。
ドアを少し開けた時、2人の会話が聞こえてきてそのまま立ち聞きする俺。
2人の会話の温度差にグッと拳を握り微笑むも、唯が切ない声で呟いた声に心が痛んだ。
男が浮気なんてしなければ唯はこんなに傷つく必要がなかったのに…と
彼氏しか見ていなかった唯の心に入り込めるチャンスをみすみす逃すつもりもない俺は、偶然を装ってドアを開けた。
その後、思い描いていた通りの展開にはならず、俺はタクシーの中、苛立ち焦っていた。
このまま、チャンスは来ないのか?
タクシーを降りて、しばらくすると唯が辛そうに笑いおやすみと言う。
泣くのを我慢していたんだな…と確信した俺は唯を抱きしめていた。
「そんな辛そうに笑うなよ」
やっと、泣く事ができた唯は号泣。
そんな唯に下心を抱いているなんて知らない彼女は、無防備だった。
ゆい…これから俺がお前にする事をどうか拒まないでくれと祈りながら俺は彼女の唇に触れる。