不埒な男が仕掛ける甘い罠
洗面台の上にペットボトルを置こうとして異変に気がついた。
コンビニなどで売っているお泊り用のスキンケアセットが封を切った状態で置いてある。
もちろん、私の物じゃない。
そして、それに隠れるようにピアスが残されていて、
それも、私の物じゃない。
シャワーを浴びながら、ふと考える私。
拓真はなんて言うんだろう?
あれも、絵里さんが昨日置いていったっていうのかなぁ…
数々の怪しい証拠
確実に絵里って人は私という彼女に、わざと自分の存在を教えようとしているに違いない。
絵里って人に怒りが湧くより、無神経な拓真に腹が立ってきた。
浮気なのか本気なのか?
それとも、ただの偶然なのか?
どちらにせよ、気分がいいわけがない。
浴室から出て体にタオルを巻くと2つの証拠品を持って寝ている拓真を起こした。
「ねぇ、これは何?」
寝ぼけてた拓真の表情が一瞬に変わる。
「……あぁ…多分、絵里さん化粧落としたからその時の忘れ物だ。月曜にでも返しておくよ」
受け取ろうと手を出してくる。
「どうして化粧を落とすのよ」
「男ならそのままでもいいけど、女はそのままってわけにいかないだろう?唯だって寝る時は化粧落とすじゃないか」