不埒な男が仕掛ける甘い罠
ゆったりとくつろげるソファ
だけど、新ちゃんの言う1人でくつろげる空間には何かが足りない。
何だろう?
私はカウンター向かって歩いていき、カウンタースイング扉を開くと10センチほどの高さのある段差があった。
カウンター内に入り店内を見渡して気がついた。
あっ、そうなんだ。
ソファでくつろげても、周りの視線が気になるんだ。
それなら、座った時の目の高さぐらいの観葉植物やパーテーションを置いたらどうだろう?
そうすればお客同士、気にならずにゆっくりできる。
新ちゃんの身長があれば、この高さならこちら側からは見渡せるはず…
思い描いていたら、業者さんとの話し合いが終わった新ちゃんがカウンターの席に座った。
「楽しそうだね⁈何考えてた?」
頬杖をつき、上目遣いに私を見てくる新ちゃんにドキッとしながら、提案してみる。
「ほら、お客目線の意見が欲しいって言ってたでしょう⁈ソファとかくつろげる柔らかさと高さなのに、このお店の広さだと隣同士が気になると思うの。だから、背の低い観葉植物やパーテーションを置いたらどうかな?」
「…うーん、そのアイデアはいいと思う。だけど、このお店の狭さを感じさせない、そして、空間を壊さないアイデアじゃないと採用できないな」