不埒な男が仕掛ける甘い罠

「そんなことないと思うけど…」

上手く持ち上げられたような感じがこそばゆい。

「唯を連れてきて正解だったな。他に気がついた事はない?」

調子にのった私の口は止まらない。

「ソファにビーズクッションを置いたらどうかなぁ?肌触りのいいクッションカバーをして置いてあったら、家に居るみたいに腕の中に抱いてくつろげるんだけど…どう?」

「いろいろ買い物に出かけるついでに見てくるか?」

「いいの?」

「俺もクッションがあればいいなって思ってたから、唯が同じ意見で嬉しいよ」

気恥ずかしさに、新ちゃんの背を押した。

「それなら早く行こうよ。他に何買うの?」

「うーん、いろいろ。とりあえず、上に行こうか?」

裏口から出て、外階段を上っていくとドアが3つしかなく、三階に通じる階段がないのだ。

今まで気にならなかったが、Aliceは三階建てのマンションにあるテナントを借りていると思っていた。

それなのに、私の考えは違っていたらしい。

1番奥のドアを新ちゃんが開け入って行くと、ガランとした何もない部屋だった。

「ここは?」

「他の2つはもう人が住んでいるけど、このマンション自体俺のものなんだ。俺、ここの大家」
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