不埒な男が仕掛ける甘い罠

「泊まったの?」

「だから、みんな酔っ払って雑魚寝してたんだ。でも絵里さん女1人でさ‥床に寝かせるわけにいかないだろう」

正当化しようとする言い方にムカつく。

「彼女がいるのに同僚とはいえ女の人を泊めるなんて信じられない。まして、このベッドに寝かせるなんて…」

無神経すぎる。

「どいてよ」

枕を退かすと予想通り片方のピアスがこれ見よがしに出てきた。

確定…⁈

「…寝た時にでも、外れたんだな」

普通に寝て、枕の下になんてあるはずないでしょう。

さっきから、自分がちぐはぐな事を言っているって気づいてる?

バカな男…

「枕の下に隠れるぐらい、寝相が悪い人なんだね」

これぐらいの嫌味を言ってもバチは当たらないわよね。

「うん、そうなんだよ。俺もあんなに激しいなんて驚いたよ」

何かを思い出し恍惚とした表情を浮かべる拓真。

阿呆らしい…

その表情と今の返事で、疑いがさらに濃厚になっているって気がついてない。

うまくごまかせたと思っているようだ。

確かな証拠がない以上、今は何を言ってもごまかすだろう…

「とにかく、もう2度と私以外の女の人をこのベッドに寝かせないで…それに、この部屋に女の人を入れないで…」
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