不埒な男が仕掛ける甘い罠
電源を切ったまま忘れていた…と言うより、今はそっとしておいてほしくて‥そのままにして拓真の事を考えないようにしてたんだったと思い出した。
「で、俺に電話もかけれないほど忙しかったのか?」
嫌味な言い方をして、車の向こうの新ちゃんを睨んでいる。
「昨日は……拓真に連絡する前に、いろいろ考えてたら寝てしまってたの。ただ、それだけなの」
「何をいろいろ考える必要があるんだよ」
何言ってるの?
自分のした事を忘れたの⁈
「考えさせてって言ったでしょう」
「だから、考える必要なんてない。俺と一緒に住めば悩む必要もなくなるだろう」
どうしてわかってくれないんだろう?
話の通じない相手にため息をついた。
「今度、ゆっくり話しよう…今は…し、オーナーと仕事の打ち合わせ中だから…ねぇ…」
とりあえず、今は…新ちゃんの前でそんな話をしたくなくて…
「打ち合わせ中?何の打ち合わせなんだ?今からラブホでも行くのか⁈」
パチンと拓真の頬を叩いていた。
「拓真と一緒にしないで…私は、彼氏がいるのに浮気なんてしない」
薄笑う拓真…
「浮気しないだって…じゃあ、さっき店の中でそいつと何してたんだ?」