不埒な男が仕掛ける甘い罠
新ちゃんは拓真の掴んでいた襟元を離した。
そして
「修復ね…一度壊れたら同じように戻んねーよ」
その言葉に心が切なくなる。
以前のように拓真を愛せる自信がないと心のどこかでわかっていた…
一緒にいても、また裏切られるんじゃないかと疑心暗鬼になって、平静でいられない気がして…
でも、好きだから、別れるという選択ができないでいたから、苦しんでいたのに…先ほどの拓真の言葉に心が冷めていく。
「さっきからなんなの⁈許してやるってなに?裏切ったのは拓真の方だよ。俺だけが悪者ってなによ…拓真が全部悪いんじゃないの」
沸々とくる怒りの感情を露わにして叫んだ。
「…本当にそう思ってるのか?唯は俺が好きなのかっていつも不安でいたなんて知らないよな⁈」
知らないわよ。
言ってくれないとわかんないわよ…
「そう言って、誤魔化さないで」
「知るわけないか…俺を見ようとしてなかったんだから…」
「なに言ってるの?拓真が好きだからつきあってるのに…そんな言い方しないで」
「それでもよかったんだ。側にいてくれれば、そのうち体だけじゃなく心も俺のモノになるって信じていたから…だけど、いつまでも俺は誰かの代わりだった。それが誰だったかって昨日わかったけどな…」