不埒な男が仕掛ける甘い罠
なぜか、不敵に笑っているのはどうして?
「寄りを戻すかどうか決めるのはこいつだ。男らしくこいつの答えを待ってたらどうなんだ?」
グッと言葉が詰まる拓真
「拓真の気持に気がつかないで、一方的に押しつけてごめん。だから浮気されるんだよね」
「ち、違う」
「違わないよ」
焦る拓真と対照的に落ち着いている私。
「拓真の気持ちは嬉しい。でも、わかんなくなっちゃった…だから、考えてみる。ううん…考えさせてください」
頭を下げお願いした。
しばらく無言の拓真
「…わかった。唯からの連絡待ってる…俺の気持ちは変わらないから…」
寂しそうに笑みを浮かべて拓真は帰って行った。
私は、ただ見えなくなるまでその背を見続けていた。
「ごめんね、新ちゃん…昨日から迷惑かけてばかりだね」
「迷惑なんて思ってないよ。言ったろ⁈俺は唯が好きなんだって…」
「…聞いてたでしょう?浮気された原因…私、彼女として失格なんだよ。それでも、拓真はやり直そうって好きだって言ってくれたのに…うんって言えなかった」
「…浮気は浮気だ。浮気していい理由にならない。俺があいつの立場なら、他の女に逃げないで唯の気持ちを掴む努力をするね」