不埒な男が仕掛ける甘い罠
何も言えない勢いで、新ちゃんの車の助手席に乗せられ車は発進する。
どこへ行くのと運転する男に聞ける雰囲気ではなくて、私は彼を見つめるしかできなかった。
連れられてきた場所は、オシャレな鉄筋コンクリートの建物が1つ1つ立つデザイナーズマンション。
そのうちの1つ建物の下に車がバックで入って行く様子に戸惑う。
助手席の背に手を置いて、後ろを向いて隣でハンドルを操作する男の横顔との距離にドキドキして落ち着かないなんて言えるはずもなく、私は身を縮めていた。
駐車し終わった車の中
戸惑う私の頬に手を当てる男の色気に当てられ、逆上せたようにクラクラする。
「全部俺のせいにすればいい」
艶めかしい瞳で囁き惑わすような声…
このまま流されたらいけないと思いながらも、ドキドキと鼓動が期待で高鳴っている。
「拓真とまだ別れてない…」
躊躇う心に相反して、私の体は言うことをきかない。
誘惑する唇に引き寄せられるかのように私の両手は男の両肩に乗せて距離を縮めていた。
「言ってる事と行動が伴ってないけど…」
意地悪く笑う目の前の男が肩にある手を掴むと、妖艷な仕草で手首にキスを落とす。
ゾクっと走る甘い疼きが、体中に駆け巡る。