不埒な男が仕掛ける甘い罠

「唯‥今ならまだこのまま帰してやれる…どうする?」

男の色気を出して誘惑しているくせに、最終的には私に決めさせようとするなんて…

あなたは、ズルイ…

「俺のせいにすればいいって言ったのに…」

勝ち誇ったように笑った新ちゃんに車から降ろされて、離さないという勢いで手を掴んだままコンクリートの階段を上って行く。

そして、部屋の鍵を開けると壁に埋め込まれているセンサーライトが足元から照らし、むき出しのコンクリート部屋だと教えてくれた…

奥へ進むにつれ部屋がボンヤリとあらわれる。

薄暗いリビングに置いてあるフロアライトの暖色系の明るさに、エロティシズムを感じこれからするだろう行為を盛り上げているようで気恥ずかしくなる。

そんな自分を知られたくなくて、部屋を見回すふりをして落ち着きなくキョロキョロして誤魔化した。

「こんな素敵なとこに住んでるのに、引っ越す必要あるの?」

「……2人で住むには手狭だから」

そう言いながら背後に回り、私を囲うように抱きしめ耳元から話す声に緊張して体が強張っていく。

吹きかける息づかいに何も答えられないでいると、髪をかき分け、うなじに触れる熱にピクンと体が跳ねた。
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