不埒な男が仕掛ける甘い罠

喘ぐ声を塞ぐ指に苦しのに優しく淫らに触れる指先に狂わされ、甘い疼きと快楽を与えられる。

膝を立て、突き上げる腰を貫く男に揺さぶられ、何度も愛し気に『ゆい』と耳元で呼ぶ声。そして、腹立たし気にうなじにきつく吸いつく唇におかしくなる。

拓真との事が解決していないのに、気づいてしまった思いに負け、抱かれる理由を用意してもらった罪悪感から淫らになる体…上半身を捻りながら頬に手を添えるとその手首にキスを落とす男の色香に当てられくぐもった声で求めた。

「…新ちゃん…もっと、強く…」

「…っ…あぁ、何も考えるな。今は…快感に溺れていろ」

ふと目が覚めると、背後から腰と足に絡む男の腕に夢ではないのだと教えてくれる。

乱れた服は直されているが、皺くちゃだ。

記憶が蘇ってくると気恥ずかしさの後に残る罪悪感が拭えない。

私は浮気をしないと言いながら、別れていないのに心だけじゃなく体までも拓真を裏切ってしまった。

どうして、こんなことをしてしまったのだろう?

考えても答えは出てこない。

後悔はないのに、心は複雑で…

拓真の顔がちらついた。

好きな人と触れ合った後なのに、悲しくなる。
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