不埒な男が仕掛ける甘い罠
いろいろな場所へ出かけたデート、どれも、楽しかった。
そこにウソはなかった。
私は、拓真を好きだった…
でも、無意識に新ちゃんの面影を押しつけていたのだろう…
今、考えるとストリートファション系を好む拓真にプレゼントした物は全て新ちゃんの好みのカジュアルな物を選んでいた気がする。
誰もいないリビングのソファに座り、はぁーとため息をつく。
「その大きなため息の原因はそれか?」
12時を過ぎ、皆寝てるだろうと思っていたのにお風呂上がりの慧が首の後ろを指差しからかう。その意味がわかり慌てて手のひらで隠すけど今更遅く、慧の面白がっている姿にイラっとして睨んだ。
「親父にバレないようにうまく隠せよ」
それはそれでバレたら大変な事になるから、素直に頷いた。
缶ビールのプルタブを開け目の前で美味しそうにゴクリと飲んだ慧は、私にも飲めと缶ビールを差し出してくる。
「そんなモノつけられて、浮かない表情の理由はなんだ?」
私は何を思ったか慧になら話せる気がして、1日の出来事を話していた。
「そんなことお前以外皆知ってたぞ。その彼氏に好きな気持ちはあるから付き合っていたんだろうが、お前の心には新がずっといたんだよ」