不埒な男が仕掛ける甘い罠

自分の事なのに、私だけが気がついてなかったの⁈

驚いて声が出ないまま、動揺している私にトドメを刺す兄。

「だから、言ったろ…恋に恋してるだけだったんだよ。だから、彼氏の心にも気がつかない。それで浮気されて悲劇のヒロインか⁈で、新に告白されて自分の気持ちに気がついたくせに気がつかないふりをして、成り行きに身を任せたって…ふっ、サイテーだな」

事実だから、言い返す言葉が見つからない。

「本当はお前がこれからどうしないといけないかってわかってるだろう?俺に相談するってことはもう答えが出てるんだよ…綺麗事並べたって相手を傷つけるのは変わらない。それならお前が悪者になってしまえばいい。好きだと思っていたなら最後ぐらい相手のために行動してやれよ」

慧の言葉が心に響いた。

私は、悪者になりたくなかった…

気がつかないふりをして逃げていたんだ。

私は、鞄の中、どこにあるかわからないスマホを探し電源をやっと入れた。

沢山の着信とメールは拓真からのもので、彼の必死な気持ちが伝わってくる。

だけど、もう今までのようにはいかない。

最後のメールになるだろう…

別れ話をする為のメールだど拓真は気がついているだろうか?
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