不埒な男が仕掛ける甘い罠
不埒な男に翻弄されています

オープン前日の夕方。

明日の準備の為、早めにAliceをクローズする事になり、片付けをしながら拓真と連絡が取れない事を気にしながら、ここ数日の事を思い出していた。

新ちゃんと肌を重ねた次の日、出勤すると既に新ちゃんの車が駐車場に止まっていた。だけど、気不味さに美鈴さんにだけ挨拶をして私はいつもの開店前の作業。

隣のお店にいたはずの新ちゃんがガラスに映り微笑んでいるから、思わず振り返り視線を外しながらぎこちなく挨拶。

「…お、おはよう…ご、ざいます」

「…うん、おはよう」

微笑む新ちゃんの視線は、私からガラス窓に映った美鈴さんをとらえた後、私の耳元に小さな声で話しかけてきた。

「…キスマーク、上手く隠したね。仁さんに見つからなかった?」

甘く響く声…
意地悪く見つめる瞳

直接、触れられてもいないのにシャツの下に着た薄手のタートルネックがキスマークが残るうなじに触れて甘く痺れていく。

コクンと頷くだけでいっぱいいっぱいの私は、きっと顔を真っ赤にしていた事だろう。

新ちゃんといると、どうしてもあの夜の事を思い出して平静でいられないからなんだけど…新ちゃんの態度があからさまに変わってきて戸惑う。
< 99 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop