彼から届いた最後の手紙
ピピ、ピピと朝の目覚まし時計が鳴り響く。


「んー。うるさい。」


私は耳元で鳴っていた目覚まし時計を止め、カーテンを開けた。


朝5時30分、まだ日が出ていない外に駈け出した。


「あ、今日日曜日だった。あーどうしようかな。」


私の通っている学校では、運動部が多く、私も運動部に所属している。


そして、平日のいつもこの時間ある人と会って一緒に走っているんだけど、なんと今日日曜日で、会うことは無かった。


「曜日間違えるなんて、馬鹿だなー。」


「ああ、お前は本当にクズだな。」


私が振り返った先には、幼馴染の天竜新がいた。


「新が何でここに?」


私がそう言ったのにはちゃんとした理由がある。


それは昨日の出来事だった。




「・・・零、俺さ、明日、旅行に行くんだけどさ、一緒に」


「え!新旅行行くの?いいなー、私も行きたいけど、部活あるんだ。楽しんできて。」


「・・・うん。」




そう、本当は今日新はここには居ないはずなのに、何でいるのか、それを私は聞きたかった。


「・・・徹夜で勉強してて、朝早くに隣から誰か出てきたから、また今日も走りに行ったのかと思って時計見たら、まだ4時30分だし、ホント抜け過ぎ。」


「え、ちょっと待って、今何時?」


私は焦りながら新に聞いた。


「今、5時30分だけど、あと1時間後俺行くからそれじゃ。」


「え、うそ。」


私は急いで家に入り、目覚まし時計を見た。


「時計1時間も違う、こんな事するのはアイツしかいない!」


私はすぐさま、隣の部屋をノックして部屋に入った。


「涼!またいたずらした?あれほど言ってるのに!」


そこには家でしばらく預かっている逢坂涼がベッドで寝ていた。


なんで預かっているのかは、親に聞かないとよく分からないけど、とにかくいたずら好きで、手の焼ける弟みたいな存在。


でも、同い年で頭はいい。


「ねぇ、そこどいて、邪魔。」


そう言いながら部屋を出て行ったのを私は見つめていた。


「せっかくカッコいいのに、彼女も作らないで、私で遊んで楽しいのかな?」


「おい、早く行くぞ。」


「待って、今行く!」


そう言って私は階段を降りていった。
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