追いかけるカゲ


中谷「何故だと思う?戒」



戒「知るかよ。」



考えたところで分からない。
知り合って間もない。時間の共有すらしたことのない連中。
ただの偽善以外に理由があるとは思えない。




葵「俺は野々宮の気持ちが分かる。」



戒「…はぁ?」



葵「俺は2年前…当時中学1年なりたての
  自分の妹が。ただの妬みで同級生の女から
  男を仕向けられ…強姦にあい…自殺した。」



戒「……。」




葵「俺はあの日…一緒に買い物に回る筈だった。
  けど…他の誘いに乗って。あいつとの
  予定を無しにしたんだ。」




長谷川の顔が徐々に歪んでいく。





葵「その日もし、約束通りあいつと出かけてたら
  あんな事は起きなかったかもしれない。」




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