追いかけるカゲ
葵「その時には、こいつらがいた。
俺が自責の念に駆られ、それこそ今の
お前のように復讐だって考えた。
妹に男を差し向けた女。手を出した男達。
「もし、たら、れば」ばかり浮かんで、
この気持ちを何処かに向かないと、狂いそう
なくらいだった。」
戒「復讐はできたのか」
葵「いや…復讐を考え毎晩のように狂ってる
俺を傍で言葉やそれこそ喧嘩で
向き合ってくれたのが、こいつらなんだ。
そのおかげで、今の俺がいる。復讐を
果たした後、何が残るのか…妹がそれを
本当に望むのか…。それを一緒に乗り越えて
くれたから。俺は堕ちずに済んだんだ。」
1度目を閉じ再度開ける長谷川の瞳には
暗闇もなく、曇りなき瞳が見えていた。
きっと復讐を考え、それをあいつらと乗り越えたから今の顔があるんだと。
中谷「人は誰しも、何かに打ち当たり苦しみに
耐えられず目を背ける事だってある。
1人では乗り越えられなくても、傍に誰か
居てくれるだけで、道を踏み外さずに
済むんだよ。」