追いかけるカゲ


葵「その時には、こいつらがいた。
  俺が自責の念に駆られ、それこそ今の
  お前のように復讐だって考えた。
  妹に男を差し向けた女。手を出した男達。
  「もし、たら、れば」ばかり浮かんで、
  この気持ちを何処かに向かないと、狂いそう
  なくらいだった。」




戒「復讐はできたのか」




葵「いや…復讐を考え毎晩のように狂ってる
  俺を傍で言葉やそれこそ喧嘩で
  向き合ってくれたのが、こいつらなんだ。
  そのおかげで、今の俺がいる。復讐を
  果たした後、何が残るのか…妹がそれを
  本当に望むのか…。それを一緒に乗り越えて
  くれたから。俺は堕ちずに済んだんだ。」




1度目を閉じ再度開ける長谷川の瞳には
暗闇もなく、曇りなき瞳が見えていた。

きっと復讐を考え、それをあいつらと乗り越えたから今の顔があるんだと。




中谷「人は誰しも、何かに打ち当たり苦しみに
   耐えられず目を背ける事だってある。
   1人では乗り越えられなくても、傍に誰か
   居てくれるだけで、道を踏み外さずに
   済むんだよ。」




< 155 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop