小さな村の大きな話
「……」
「………」
暫く沈黙が走る。
樹ちゃんは黙ったままパジャマのボタンを一つ一つ開けていく。
「え、ちょ……」
私はすぐに息を呑んだ。
樹ちゃんの胸には真っ直ぐに傷跡が残っていた。
樹ちゃんが私の手を掴んでその傷を触れさせる。
「この傷、どう思う??汚いって思う??
私の事嫌いになった??」
一瞬でわかった、昨日私がどれだけ酷いことを言ったか。
そう思うと涙が溢れて止まらなかった。
一生懸命首を横に振った。
「私はね、この傷結構気に入ってる
父が精一杯私の命をつないでくれて、錦が初めて人間の命と向き合った。
どんなに汚くても、他人から嫌がられようとも。私には大切」
「………ぅんっ」
「ほら、泣かないで…」
そっと指で涙を拭ってくれる。
「私の事、知って欲しい……。聞いてくれる??」
「私もっ!!教えて欲しい…」
「ありがとう」