小さな村の大きな話
「樹ちゃん、そろそろ戻ろうか」
「……うん」
「りんちゃん、ちょっと送ってくるね」
「あ、そうだ。りんにもう1つ言いたい事があったの」
「ん??」
「手術を受けるのも拒否するのもりんの権利だよ。私は自分で選ぶことができなかったから…。
しっかり迷う時間も大切にしてほしい」
「っ!!うんっ!!ありがとう」
部屋に一人になって沢山考えた。
樹ちゃんのこと、村の事…
これからの自分のこと。
受けるか受けないかだけじゃない、迷うって選択肢……。
「りんちゃん、はいるよ」
「うん……」
ベッドの横にパイプ椅子を出して大和くんが座る。
長めの沈黙が走りった。
「……ねぇ、大和くん。聞いてもいい??」
「うん」
「手術、いつまで待てる??」
「僕はいつまででも待てるよ。
そりゃ、早ければ早いほうがいいと思うけど。
手術すれば症状が軽減する。でもその前に大きな発作が来たら…」
「まだ、もう少し…迷ってもいいかな??」
「どうしてか、話してくれる??
今回のことでわかったんだ。僕達お互いのこと全然わかってない。
僕は、わかりたい、理解したい。二人で向き合って背負っていきたいんだ」
言わなくちゃ。
言いたかった、ずっと言いたかった一言……。
「……こわい……こわいよぉっ!!!」
ぽろぽろと涙をこぼす。
「うん」
「大和くんの事……信じてるけどっ!!
もしかしたらって……信じてるのにっ!!こわくてっ!!」
大和くんがぎゅっと抱きしめてくれて、私はすっぽりと腕に収まる。
「話してくれてありがとう。
ゆっくりでいい、二人のペースで決めていこう??」
「うん…」