小さな村の大きな話
「本田さん、面会記録ほとんどないけど…。
学校の友達とかお見舞い来たりしないの??」
「友達は、いないから…。
学校なんて、もうずっと行ってないし…」
「そっか…。ご両親は??」
「ずっと海外で仕事してるから…」
私に友達がいない事も、両親がほとんどお見舞いに来ないことも看護師さんも、院内学級の人たちも誰も突っ込んで聞くことはなかった。
腫れ物のように扱われてた私にとってこんなこと聞かれるのは初めてだった。
「そっか…。
じゃぁ、僕が本田さんに一番近い人になるね」
そうやって、ぱぁっと咲く花のような笑顔に私はすでに惹かれていたんだと思う。